2020年、日本が破綻する日

★☆☆☆☆

センセーショナルなタイトルと、池田信夫氏のブログで言及があったので読んでみましたが、全くガッカリ。

1.表題についての説明は第1章のみ。しかも最初の10ページくらいで結論が出される。その論拠は、一般政府債務残高(定義不明)が、過去最悪の直近10年の平均ペースで継続拡大し、且つ家計貯蓄が横ばいと仮定すると、2020年に100%を超過するから、と。定義、仮定の妥当性、結論の出し方まで全く納得感ナシ。全体を通して、出身母体である財務省(大蔵省)を擁護すべく、必要以上に財政危機を煽り、消費税20%への増税の道を正当化したいだけ、という印象は拭えない。

2.第2章では、現行の社会保障制度における「暗黙の債務」をとりあげ、そこから「世代間格差」論が延々続く。この「崩壊する社会保障」再生プランとして「事前積立」や「管理競争」を論ずるが、特に目新しさは無い。最終章では、「世代間公平基本法」や「世代間公平委員会」等言いたいことは判るが極めて実現性に乏しい突飛な提言と、極めて真っ当な(でも社説みたいに無味乾燥な)まとめで終わる。

著者の「世代間闘争である」という大きな枠組みには全く賛成ですが、構成/論理展開ともに甘過ぎる。(データも相応に提示されているが、俄かには承諾し難い解釈も多数。例えば、「世代間格差の拡大は経済成長を低下させる」と結論付けているが、世代間格差の最たる国である中国はどうなのよ?)

2020年、日本が破綻する日 日経プレミアシリーズ

2020年、日本が破綻する日 日経プレミアシリーズ