11/19 主要3紙の社説

朝日1:新防衛大綱へ―理念貫き政治の力を示せ
朝日2:一票の格差参院各派はもう逃げるな
読売1:日航整理解雇 労使対立を収拾し出直し急げ
読売2:柳田法相発言 菅政権の緊張感欠如の表れだ
毎日1:相次ぐ閣僚失言 政権迷走、即刻立て直せ
毎日2:武器輸出三原則 理念守る歯止めが必要

柳田法相は、まぁこれは辞職せざるを得ないですよね。
私はちょっと角度を変えて、この問題を考えたいと思います。(内田先生の様に)
何で、こういう失言で議員辞職する先生が「必ず」毎年何人もいるんだろうか?と。
これだけコンスタントに発生するというコトは、頭の耄碌したおじーちゃん議員
個人の資質に帰すべき問題ではなく、むしろ構造的な何らかの理由が底流しているのでは
無いか?と考えるのが論理的では無いでしょうか。
(勿論、一般に国会議員はおじーちゃんが多いので、一般人に比べると脇が甘くなるのはしょーがない、っていう議論はあるかも知れませんが、それはそれで、耄碌じーちゃんが議会の多勢だっていう状況も問題ですね。)

以前、友人の結婚式で加藤紘一氏のスピーチを聞いた事があります。やっぱり上手なスピーチでした。(今まで聞いた来賓のスピーチの中で多分一番。)勿論、会社の上司とかで場の雰囲気を掴むのが上手な来賓は時々存在する。日々接している上司である以上、当然笑わすエピソードも豊富にあるので、盛り上がる。加藤紘一氏のスピーチは、そういう「上手さ」では無く、まずは聴衆向けのスピーチに慣れている=場数を踏んでいるが故の余裕というか間の取り方の上手さだろう。そのうえで簡潔な起承転結がある。

議員さんは、職業柄、スピーチの機会が自然と多くなるので、田舎のおじいちゃんおばあちゃんにもウケる様な「判り易い」ストーリーが必要なんだろう。その為に、自虐的なネタやオチのある話をしゃべる傾向になっちゃうんだろう、と。

勿論、彼を擁護するつもりは全然無い。
彼は聴衆を喜ばせる為に禍根を残すであろう言説を「ネタ」としてしゃべってしまった。
その判断力の甘さが命取りになってしまった。そのセンスの無さは、議員という職業にとって決定的な能力の欠如を意味するんだろう。では何故、そういう「不向きな」議員が多数存在するんでしょうか?これはまた次回。

新防衛大綱について、朝日と毎日の論点は大きく異なる。
朝日1は言う。
”これまで重ねられてきた議論を見ると、大きな政策転換をもくろむ声が高まっているように見える。首相の諮問機関は今年8月に発表した報告書で、専守防衛の理念を支えてきた「基盤的防衛力構想」を否定し、脅威対応型への転換を主張した。部隊や装備の大きさよりも、即応力や機動力に重点を置く「動的抑止」という新しい考え方を打ち出し、武器輸出三原則の緩和や沖縄周辺の離島防衛強化なども提言した。民主党の外交・安全保障調査会も、武器禁輸の見直しや、戦闘機などの他国との共同開発解禁を検討している。九州・沖縄地域の陸上自衛隊や潜水艦戦力の増強なども盛り込んだ提言を、近く政権側に示すという。これらの提案は、戦後日本の歩みから逸脱しかねない危うさをはらんでいる。脅威に直接対抗せず、国際紛争を助長もしないという理念や政策と、折り合いはつきにくいだろう。”
つまり、全体として政府は戦力増強の方向性を指向している様に見えるので危険だと。

一方、毎日2は「武器輸出3原則」に焦点を当てる。
”政府が年内に策定する新たな「防衛計画の大綱」に向けて、政府内や民主党内で武器輸出三原則の見直し論議が進んでいる。三原則は、佐藤内閣が1967年、(1)共産圏諸国(2)国連決議で禁止された国(3)国際紛争の当事国やおそれのある国−−への武器輸出を認めないと表明したことに由来する。76年には三木内閣が三原則対象地域以外の国にも武器輸出を「慎む」とした政府統一見解を表明し、事実上の全面禁輸となった。武器技術なども三原則に準じるとされた。その後、83年に対米武器技術供与が例外とされ、2004年には米国とのミサイル防衛(MD)関連の共同開発・共同生産、他国とのテロ・海賊対策についても個別に検討するとし、現在に至る。今回の見直し論議の背景には、次期主力戦闘機(FX)導入などを念頭に、国際的な共同開発・共同生産に道を開きたいという意図がある。日本単独の開発・生産では高価につくほか、防衛産業の生産・技術基盤が立ち遅れるとの危機感である。近年、武器・技術の共同開発・生産が国際的な流れとなっているのは間違いない。日本にとっても安全保障・防衛の充実、国内の生産基盤整備の観点から、これに参加するのは有益であろう。が、同時に、三原則によって軍備管理・軍縮で日本が一定の発言力を持てるようになり、「非核三原則」などと並んで「平和国家の基本理念」の一つとなってきたことも事実である。菅直人首相は武器三原則の基本理念を堅持すると明言している。見直しにあたっては、日本の武器・技術輸出が国際紛争の助長に結びつくようなことにはしないという原則を守る新たな歯止めが必要となる。”
つまり、見直しの方向性に理解は示すものの警鐘を鳴らすことを忘れない、といった程度。

個人的には、いつも大上段から大きな論説を振りかざす朝日のスタンスは気に食わないので、毎日の様にfocusした丁寧な議論の進め方を支持します。

よって今日は毎日の勝ち!!

朝日 読売 毎日
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